羽田登の着物の買取相場と高く売れる着物

着物の染色技法は、様々です。糸を先に染める先染め、織った後に布生地を染める後染め、特殊な糊で防染し模様部分を染め上げる注染、染液に丸ごと布生地をつける浸染など、たくさんの区分が存在します。

その中でも、江戸時代に誕生した友禅染めは世界的に有名です。友禅染は現代において多種多様に発達しています。この記事では、繊細な手描き友禅を制作する羽田登氏の着物の買取相場とその特徴について紹介します。

羽田登の着物の特徴と買取相場

羽田登氏の着物は、全ての工程を手作業で染める手描き友禅が特徴です。羽田登氏の父、羽田登喜男が確立した技術を引き継いでいます。

羽田登喜男は石川県に生まれ、金沢市で加賀友禅を学んだ後、京都市で京友禅を学びました。独立後、加賀友禅と京友禅の技法を融合させ、全ての工程を手作業で行う手描き友禅を編みだし、重要無形文化財など数多くの受賞を受けました。

羽田登喜男は、オシドリやクジャク、野の草花などを豪華にデザインした着物を多く手がけました。彼の作品はダイアナ妃に贈られた振袖など、多数にわたります。97歳で亡くなりましたが、その半年前まで制作活動を行いました。

羽田登氏は羽田登喜男の長男です。家業を継ぐ前から書道、日本画、サッカー、渓流釣りなど様々な活動を行いました。それらの体験が、手描き友禅の作品に影響を与えました。

例えば、鮎釣りを趣味にしていることから、流水をイメージしたモチーフが多いです。父親が四季をイメージした花鳥風月を作品にした影響を受け、自然の繊細さを表現しています。

京友禅は、20～30工程が必要なため、これらの工程は分業化されるのが普通ですが、羽田登氏の友禅染めは、デザインから仕上げまで一貫した作業を行います。そのため、細部まで自在に表現を変えることが可能です。

まずスケッチの積み重ねを行います。加賀友禅の写実的で濃密な色彩と、京友禅の洗練された華麗さ、優美さがミックスされているのが特徴です。

江戸時代までは手描き友禅が主流でしたが、明治時代以降は文明開化により、化学染料が増えたため、手描き友禅は衰退していきました。その代わり、型紙で友禅模様を染める型友禅が増えました。

現在でも手描き友禅の技法を守っているのは羽田家など全国的に数が少ないです。羽田登氏は手描き友禅の伝統を守りつつ、さらに現代風のファッションも取り入れる工夫も忘れていません。そのため、羽田登氏の着物は、買取相場で高値がつきます。

羽田登氏も、京都府指定無形文化財の「友禅」保持者に認定されるなど、父と同様に数々の受賞を受けています。また、娘の羽田登喜さんも、女性ならではの視点から斬新なデザインの着物を制作しています。

正絹の友禅染めで、有名な作家が制作した着物は軒並み高値がつきます。すでに亡くなったかたの着物だと、数百万円の買取価格になることもあります。

羽田登氏はまだご存命ですが、手描き友禅で制作する着物は非常に時間がかかるため、市場には少量しか出回っておらず、需要も高いため、数十万円になることもあります。

羽田登氏自身が制作した作品には「登」の落款が記されています。羽田登氏が属する羽田工房で制作した着物の中には、彼が監修した作品も含まれていますが、落款は記されておらず、買取価格は下がります。

そのような細かい違いは、リサイクルショップや質屋では区別ができない可能性が高いです。そのため、着物買取専門店に査定を依頼することをおすすめします。

羽田登氏の着物は、加賀友禅と京友禅の良さが組み合わさっているため、その正確な査定は、着物買取専門の査定員に任せた方が良いでしょう。

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